アメリカ陸軍、さらにMacintoshを導入

以下は転記です。

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【米国】 9月24日2000年――

 最近,米陸軍が公開ウェブサイト用サーバOSをWindows NTからMac OSに切り替えたことは,陸軍のプラットフォーム戦略の大改革の始まりにすぎなかったのかもしれない。

 StarNine Technologiesの「WebSTAR Server Suite 4.0」を動作させたPower Mac G3をペンタゴンの鍵のかかる地下室に設置した陸軍は,Apple製品をさらに導入することを検討していると,陸軍のウェブマスターStephen Bates氏はMacWEEKに語った。

 Bates氏は,WebSTARへの切替えは「非常に順調に」進んでいると述べた。

 情報筋によれば,Mac OSで動作するWebSTARの採用を決めたのは陸軍のトップではなく,下からの意見によるもので,Microsoftはこれを非難し,広く宣伝されている陸軍の動きについて強い不満を述べている。ペンタゴンのスポークスマン,Jeff Phillips中佐は,プラットフォームの切替えは「1グループによる予備的な動きであり,方針の変更を示唆するものではない」という。

 AppleのスポークスマンVanessa Rios氏は,陸軍のウェブサイトにMac OSが選ばれたことは「 (同OSの) セキュリティ上の評判と,デザインおよびパブリッシング業界での人気を考えれば,驚くことではない」と語る。

 Bates氏のグループはアップグレードなど,Appleの新しいソフトウェアを評価しているという。「われわれはOS X Streaming ServerとQuickTimeストリーミングの使用を検討している。Army Bandなどのグループは,ストリーミングオーディオのコンテンツに興味を示している」

 陸軍には「Mac,Windows,UNIXマシンが混在している。われわれは当然,QuickTimeがほかのプラットフォームにも移植されることを望んでいる」 (Bates氏)

 Bates氏によれば,陸軍で情報主任を務めるWilliam Campbell中将は,ウェブチームに対して,同チームが学んだ知識を「海軍,空軍,および陸軍のほかの部門全体で共有するように指示した」という。

 同氏のチームは2000年3月に開催される「第4回Army Directors of Information Management Conference」で,Mac OSで動作させたWebSTARの使用についてプレゼンテーションを行うかもしれないとBates氏は述べた。毎年開催されるこの会議では,連邦政府の各種機関の情報技術担当者と民間企業が集まり,インプリメンテーション,インストール,技術についての情報を交換している。

 陸軍は6月下旬にウェブサイトがハッカーに襲われたあとで,WebSTARとMac OSを使用することを決定した。FBIは陸軍の犯罪捜査部と協力して,先月下旬にウィスコンシン州在住の19歳のChad Davisを,陸軍のウェブサイトを攻撃した容疑で逮捕した。この事件で生じたセキュリティ上の不安がきっかけとなり,Macへの切替えが決まったという。

 プラットフォーム戦略を決定するうえで,陸軍はMITが設立したW3Cのサイトで提供されているセキュリティの分析を検討し,陸軍が運営するウェブサイトのセキュリティの問題を評価した。

 さらに,陸軍のComputer Emergency Response Teamは,各種ソフトウェアパッケージをテストしたと,WebSTARプロダクトマネジャーのEric Zelenka氏は語った。同氏は,Appleの営業スタッフの連邦政府担当グループの助けを得て,6月に陸軍の担当者との作業を始めた。

 Zelenka氏によれば,陸軍はセキュリティを向上するためのSecure Sockets Layer Level 2/Level 3暗号化,ネットワークセキュリティおよびアクセス制御のためのプロキシサーバ,FTPおよび電子メールの統合サーバなど,WebSTAR Server Suite 4.0のセキュリティ機能に心が動いたようだという。

 Windows NTでは「問題が起きてももシステム管理者にはどうなっているのかわからず,Microsoftから提供されるセキュリティパッチを使いつづけなければならない。その結果,さらに問題が生じる可能性がある」とZelenka氏は話す。WebSTARを使えば,問題を監視して,対策が必要なときはシステム管理者に警告する機能を作成することができ,人がつねにサーバを監視している必要はない」

 陸軍がウエブサイト用OSをWindows NTからMac OSに切り替えたことがきっかけとなり,米軍のほかの組織でもAppleの技術が今以上に広く使われることになるかもしれない。

 あるオンラインのレポートによれば,米海軍ではWindows NTを使用中に問題が生じたという。

 StarNineによれば,ロードアイランド州にあるNaval Undersea Warfare CenterはWebSTARを使用している。同センターでは海軍の潜水艦および海中戦に関連するそのほかのシステムの調査,開発,テスト,エンジニアリングを行なっている。

 一方,このほかの連邦政府機関もAppleの技術を採用している。StarNineによれば,WebSTARは国務省の主要なウェブサイト,平和部隊,国立衛生研究所,カリフォルニア州にあるNASAエームズリサーチセンター,ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所で使われているという。

 イントラネットやウェブサイトにWebSTARとMac OSを使用しているこのほかの政府機関には,農務省および商務省のほか,魚類野生動物庁,地質調査部,開墾局など,内務省の複数の部門があるとStarNineは語った。

MacWIRE:米陸軍がさらにMacを導入

[Wendy J. Mattson,MacWEEK.com]