電気代と企業、まとめ2013
電気料金値上げで自社の業績に「悪影響」とする企業は60%
、5月の家庭向け電気料金はすべての電力会社で4月より平均して月67円(四国電力)〜221円(東京電力)の値上げが実施されている。
このような背景を踏まえ、帝国データバンクは、電気料金の値上げが自社の業績に与える影響について調査を実施した。
なお、本調査はTDB景気動向調査2013年4月調査とともに行った。※調査期間は2013年4月17日〜4月30日、
調査対象は神奈川県内972社で、有効回答企業数は463社(回答率47.6%)。
調査結果(要旨)
1.電気料金値上げで自社の業績に「悪影響」とする企業は60.5%。『金融』は回答数2社で100%、『製造』は70.9%が悪影響と答えた。
一方、『不動産』は52.6%、『建設』は53.7%にとどまり、業界間でのバラツキが大きい。
業績に「好影響」と考える企業は1.9%で、省エネに関する設備改善需要の増加を見込む。
2.電気料金値上げで影響を受ける企業の66.8%が「既存設備での節電を実施」で対応。
10.3%が「電力会社との契約内容の見直し」。
3.電気料金値上げ分の価格転嫁では、企業の47.1%が「まったく転嫁しない」と回答。
コスト上昇分を自社の収益で吸収すると考えている企業が半数近くに達する。
一方で、ほぼ全額転嫁する企業は1.5%にとどまる。
2013.5.24
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s130501_20.pdf
より
電気代アップは経済界の死活問題ではない
製造業の99.5%は「電力少消費業種」だった
■ 電気をたくさん使っているのはだれ?
日本の電気の3分の2は産業部門と業務部門によって使われています。
産業部門とは大規模工場など、業務部門とはオフィスビルなどのこと。
さらに、産業部門の約8割は製造業によって使用されています。
■ 「電力多消費業種」は製造業の約0.2%
ところが、製造業のすべてが電気をたくさん必要とするというわけではありません。
電力会社に支払う電気代の割合が、生産額の10%以上となる業種(「電力多消費業種」)はいくつかに限られており、製造業全体の生産額に占める割合は約0.2%にとどまることが今回の検証で明らかになりました。
「準電力多消費業種」(電力会社に支払う電気代の割合が、生産額の5%以上となる業種)は約0.4%なので、このふたつを合わせても、製造業全体の1%に届きません。
■ 製造業の99.5%は「電力少消費業種」
一方で、製造業の圧倒的多数(99.5%!)は、電力会社に支払う電気代の割合が、生産額の5%未満となる「電力少消費業種」であることがわかりました。
ちなみに、製造業全体の雇用の約99.6%は「電力少消費業種」です。
このように、国内でもっとも電気をたくさん使う産業の製造業には、電気代アップが経営リスクとなる約0.6%の「電力多消費業種」と、そうではない約99.5%の「電力少消費業種」があるのです。
■ 省エネ・自然エネルギー拡大は「ものづくり日本」の出番
「電力少消費業種」である機械製造業は、製造業生産額の3割を支える「ものづくり日本」のリーダー。
おもな製品は、自動車、発電用タービン、蓄電池、生産用機械、ボイラ、ポンプなどです。
ボイラやポンプはさまざまな工場や設備で使われる機械で、整備や交換をすることで高い省エネ効果が期待できますし、
発電用タービンや蓄電池は、風車や小水力発電などの自然エネルギーが増えることがビジネスチャンスにつながります。
■ 製造業は分けて考えよう
電気代アップがあたかも経済界全体の死活問題かのように語られることは妥当とは言えません。
「電力多消費業種」とそうでない業種は分けて考えられるべきです。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/995/blog/42543/
より
「死活問題ではない」
だからといって、「値上げしてよい」とは限らない。
総括原価方式を廃止しない限り、電力会社にはコスト意識は芽生えないだろう。
総括原価方式とは
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