飽差
二種類の飽差
飽差について調べていると、二種類の飽差があることに気づいた。
それらは、
Vapour Pressure Dificit: VPD
単位 hPa
と
Humidity Deficit: HD
単位 g/m^3
である。
どうやら、日本語では同じ「飽差」であるが、英語では別物である。
一般に、HDが5g/m3前後が光合成に適していると言われている。
Humidity Deficit: HD
HDとは、
湿り空気の絶対湿度と同じ温度で水蒸気飽和状態にある空気の絶対湿度の差。
これの単位はg/m ^3
要するに、1立方メーターの空気に何グラムの水があるかということ。
相対湿度(%)がわかると飽差HDは以下で計算できる。
R=相対湿度(%)、飽和水蒸気量=VHとすると
HD= (100 - R ) * VH /100 ・・・・ (1)
(1)のVHは以下で計算できる。
気温をTとすると
VH=217 x e(T) / ( T + 273.15 ) ・・・・(2)
ここで、e(T)は、水蒸気圧であり以下で計算できる。
e(T) = 6.1078 * 10 ^ ((7.5T / (T+237.3 )))・・・(3)
園芸の書籍を見ると大雑把に
植物の光合成には飽差が5g/m^3前後がよいと言われている。
それでは、飽差を5にするには、相対湿度をいくらにすればいいのか。
それは(1)を変形して相対湿度R(%)は
R=100*(1 - HD/VH) ・・・・・(4)
飽差HDに5を代入すると
R=100 * ( 1 - 5/VH )・・・・・(5)
でRは計算できる。
しかし、この式から計算すれば気温が0℃以下になると、必要な湿度はマイナスとなる。右の表に掲げた。
つまり実現不可能な湿度となる。
気温がマイナスの地域でも植物は生息するので、この計算式では、0℃以下は使えない。
または、飽差だけでは光合成を説明できないのかもしれない。
◆Excelで計算する
EXCELで簡単に以下、作成してみました。
・湿度から飽差を計算する
・飽差から湿度を計算する。
・・・・
EXCELの計算ファイルは以下からダウンロードできます。
hosa1511.zip,
無料ですが、以下の注意点に同意できる方のみご使用ください。
使用上の注意
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出典
http://mackenmov.sunnyday.jp/macken/plantf/index.html
・Excel2008 Mac版で動作確認しています。
使っていたものそのままですので、外見とかそのまんまです。。(^∇^;)
◆用語
絶対湿度(absolute humidity)には、容積絶対湿度と重量絶対湿度(混合比)がある。記号はχである。
国際的には絶対湿度と言えば容積絶対湿度のことであるが、日本では空調に関係する分野で重量絶対湿度が「絶対湿度」とされているので、注意が必要である。
容積絶対湿度(volumetric humidity)とは大気の単位容積に含まれる水蒸気の量を重量で示したもの(単位:g/m3)。
飽和水蒸気量ともいう。
Humidity は、「湿度」
Deficitは、「不足」という意味。
Vapour Pressure Dificit: VPD
湿り空気の水蒸気圧と、同じ温度の飽和水蒸気圧の差
単位はhPa等の圧力の単位。
t=気温(℃), U=相対湿度(%)のとき
VPD=f(t) * ( 1 - U/100 )
f(t)は、温度tのときの飽和水蒸気圧。
相対湿度(relative humidity)とは、ある気温で大気が含むことのできる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)を100とし、実際の水蒸気量の測定値を比率(パーセント)で表したもの。
一般的に使用されるのは相対湿度である。
参考
・http://d.hatena.ne.jp/Rion778/20121203/1354546179
・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%BF%E5%BA%A6
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