【EJ20】エンジンの歴史
初代 EJ20
1989年に初代レガシィ(BC/BF型)に搭載。
レオーネ・シリーズの遺産を捨て、ボディ、シャシー、エンジンなど、すべてをゼロから開発した。
自然吸気仕様で150ps/6800rpm、172Nm/5200rpm、高出力型の本命、ターボ仕様は水冷インタークーラーと組み合わせて200ps/6000rpm、260Nm/3600rpmを達成した。
「Best in Class」という高い目標を掲げ、その性能を達成するために、世界各地の道路で熟成テストを行ない、総仕上げとして発売直前に19日間をかけてアメリカ・アリゾナ州フェニックスで、レガシィ・セダンRSが、10万km耐久走行で平均速度223.345km/hという世界速度記録を達成した。
・水平対向エンジンの優位性
・・水平対向エンジンの前後長は直4に比べ2.5気筒分の長さで、圧倒的に短くでき、レイアウト的にも慣性モーメントの点でも有利。慣性モーメントが少なくなりコーナリング速度が上がる。
・・ドライブシャフトを左右等長にできる。左右重心のバランスがよい。
・・クランクシャフト位相角が180度で、左右の気筒のピストンとコネクティングロッドが左右対称で運動するため、レシプロ運動で発生する振動を打ち消し合い、1次振動はもちろん、直列4気筒エンジンで問題となる2次振動が発生しない。
水平対向6気筒エンジンは完全バランスとなるが、水平対向4気筒ではわずかな偶力(回転方向の)振動が発生するものの、これはエンジンマウントやクランクシャフト・ダンパーで解決することができる。
・・安全面でも衝突時にトランスミッションをクルマのフロア下に移動させることで衝撃を緩和できる。
・・直4エンジンより低重心となりコーナリング速度が上げる。
1991年WRCコルシカラリーに参戦
専用エンジンの出力は220psながら、STIによりバランス取り、吸気ポート内鏡面研磨、鍛造ピストンの採用などが行なわれ、ゴールド塗装のエンジン・カバーを備えていた。
・1992年 インプレッサが誕生
世界戦略車の第2弾として1992年にデビューしたのが、Cセグメントのインプレッサ(GC/GF型)・シリーズであった。このインプレッサ・シリーズに搭載されたのがEJ型エンジン・シリーズで排気量は新設計の1.5L、1.6Lから2.0Lまで6機種のエンジンでカバーされていた。
シリンダーヘッド部分を新設計しハイパワー、大トルクとした。
EJ20ターボの出力は240ps/6000rpm、最大トルク304Nm/5000rpmを発生。
インプレッサWRX RAは、計画通り1993年から世界ラリー選手権シリーズに参戦し、1995年から3年連続WRCチャンピオンを獲得するという快挙を成し遂げた。
2ステージ ツインターボのEJ20型の開発
低速時にはシングル(プライマリー)ターボにより過給圧を発生させる。
負荷が増大するにつれてよりセカンダリー ターボも過給圧を発生しツインターボ状態となる。
ターボラグが少なくリニアなアクセル レスポンスを実現している。
この2ステージ ツインターボは、ボールベアリング式軸受を採用するなど、異例なほど高コストなエンジン システムとなっていた。
マスター4シリーズ
シリンダーブロックはオープンデッキに変更。点火方式がダイレクトイグニッションから2コイル同時点火に変更されている。シリンダーヘッド部の冷却性の向上、メタル製シンダーヘッドガスケット、低フリクション ピストンの採用、インタークーラーのサイズアップなどが行なわれている。
1996年に「WRX TypeRA STi バージョンⅡ」が555台限定で発売された。このSTIチューンのEJ20型ターボエンジンは275ps/6500rpmを発生した。
しかし1996年には、インプレッサ シリーズがマイナーチェンジされ、WRXのエンジンはさらに高回転・高出力化され、当時の国内自主規制値の280psに到達している。
2代目インプレッサの登場
2000年8月、2代目インプレッサ(GD/GG型)がデビューし、2ヶ月遅れの10月にWRX STIモデルが追加された。
EJ20は燃費の向上や排出ガスのクリーン化に対応しながら、2200rpmで最大トルクの80%以上を発揮する全域高トルク特性を追求しており、高回転・高出力型からトルク追求タイプへの進化を遂げた。
280ps/6400rpm、373Nm/4000rpmを発生する。