エステル系オイルでの皮膜形成と潤滑について
極限で真価を発揮するエステル

通常(ある一定の負荷まで)の状態では、オイルはその圧力(粘度)によって油膜を形成しています。この状態は流体潤滑と呼ばれ、オイルが流体として金属同士の2面間の直接接触を防ぎます。

この状態を保つ為にはオイルに2面間の負荷を支える圧力が必要となります。この圧力は、2面間の相対運動と外部から送り込まれるオイルの速度により発生します。

しかし、高負荷の条件下においては、オイルの流体としての圧力(粘度)だけでは油膜を維持する事ができなくなります。 その場合、金属間の摺動の速度や潤滑面への荷重(エンジンの回転数等)、温度や粘度などの条件によって油膜切れを起こし、金属と金属が直接接触する境界潤滑の状態にさらされます。

この境界潤滑の領域において、エステルはその性能を大いに発揮します。他のベースオイルでは困難な境界潤滑領域での摩擦(境界摩擦)を大幅に低減させるのです。

このメカニズムは下記のような仕組みになっています。エステルの持つ分子のうち、酸素(O)と水素(H)はそれぞれ(-)及び(+)の極性を持ち、金属表面に電気的に吸着し、吸着分子膜となります。

この吸着分子膜こそ、いままでの粘度だけで油膜を作り出すオイルとの大きな差です。

この差は、例えばエンジン始動時のエンジン上部の潤滑性能にも顕著に表れます。
オイルの圧力(粘度)だけに依存する潤滑の場合、エンジンが停止するとその圧力が消滅し、同時に重力によってオイルがエンジン下部に落下します。
その後、エンジンを再スタートさせる際、オイルポンプによりオイルがエンジン上部に送られるまでの間、金属の2面間にオイルが存在せず、いきなり境界潤滑領域が現れる事になります。
これをドライ・スタートと呼び、エンジンにとって最も危険な状態と言えます。

一般市販車のエンジンが通常走行でストップ・アンド・ゴーを繰り返すが故に、レーシング・カーよりも過酷なコンディションだと言われる所以がここにあります。

一方、エステルの吸着分子膜は、粘度に依存しないので、エンジン停止後もエンジン上部に留まり、ドライ・スタートを防ぎます。

エステル皮膜の模式図

MOTULは化学合成オイルの ベースオイルとしていち早くエステルに着目

エステル以前のオイルは、粘度(圧力)をできるだけ長く維持する事により、流体潤滑状態を保とうとしていました。つまり、硬いオイルほど油性が強いという概念があったのです。

しかし、MOTULは合成オイルのベースオイルにエステルを使うことによって、高粘度=高油性という従来の概念を変えました。

ベースオイルの中のエステル基が極性を持ち、電気的な積極性で金属表面に吸着しようとする性質が油性を保つからです。

この極性は、オイルの粘度や温度によって変化しません。

MOTULがベースオイルとして、使用しているエステルの種類も「ジエステル」から始まり、96年春に採用された「コンプレックス・エステル」まで小さな改良を入れると既に6代目になっています。

MOTULは4ストローク/2ストローク用エンジン・オイル共、そのエステルをベースオイルに選び、高い潤滑性能を追求しています。

以上はhttp://www.motul.co.jp/fact_sheets/estel_oil.htmlからの抜粋です。

参考リンク

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update: 2005.05