「医薬は人の為にあるのであって利益確定の為にあるのではない」
これは米国メルク社創業者、ジョージ・W・メルクの言葉です。
企業も人も同じです。目先の利益や理論的な正しさだけにこだわっていると長期的な人間関係は築けません。
長期的な円滑な人間関係こそがプライベートでもビジネスでも重要なことであり、そのためには個人そのものの人格というものが必要になるのです。
近年の日本では科学技術中心の教育がされていて、人格については教育されていません。
科学技術中心の教育では理論に基づいて正誤を判断します。
それはそれで論理的な考え方を身につけるには必要なことです。
また試験をする側にとっても正誤がはっきりしている試験問題は採点がしやすいのです。
しかしそのような正誤主義による試験で学生の人としての優劣が決められることに問題があるのです。
人というのは理論的なものだけではなく、真、善、美など多面的な価値をもつ存在です。
これは人の左脳と右脳と両方とで人を形成していることでも説明できます。
左脳は理論的な思考を司り、右脳は情緒的な側面をもちます。両方で人間になるのです。
日本の教育は左脳だけを強化していて右脳の開発はおきざりになっているのです。
人間は両方の脳を使って思考して行動します。その結果が人間関係やビジネスの結果として現れます。
左脳偏重主義で育った学生たちは社会に出てざまざまな問題に直面します。
人間関係というのは白黒つけがたいことが多くあります。それらは右脳と大きく関わっています。
たとえば音楽を聞いてこれは正しい音楽だ、誤っている音楽だ、と言えるでしょうか。
絵を見て正しい絵だとか言えますか?
音楽や絵ということと「正しい、誤り」ということが合致しないことに気づくでしょう。
これが右脳の現象を左脳で判断しようとするときにおこる矛盾なのです。
学生のときは試験の点が良いと高く評価されます。しかしこれは左脳だけのゲームにしかすぎません。
愛情も右脳の分野です。
学校のテストの点が良い人が必ずしも異性に人気がある人でしょうか。
感情も右脳の分野です。
毎日怒り狂っている人が好ましい人と思いますか?
そういう人でも左脳的な試験の点さえよければ、高く評価されてよい大学に入り有名な企業に入ることができるのです。
このような矛盾が今の社会問題の原因のひとつであることはまちがいないでしょう。
今後は人間関係や人格形成に政府も社会も資源を割りふるべきです。
単に教育が必要というだけではだめです。
人格重視の方向に向かうことで全人的な完成に進むことができるのです。
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