環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題で、交渉に参加した場合のメリットなどを分析した内部文書を政府が作成していたことが、27日分かった。文書は参加表明の時期について、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)が「米国が最も評価するタイミング」と指摘。「TPPに参加表明するからこそ(現在進めている)EU(欧州連合)や中韓との交渉が動く」として、参加表明が他の2国間のEPA(経済連携協定)交渉にも好影響を与えるとの考えを示した。
文書は「APECで交渉参加を表明すべき理由」として、12年の米大統領選を挙げた。「米国はAPECで相当の成果を演出したいと考えている」と指摘。日本が交渉参加を表明すれば「米国は『日本の参加でTPPが本格的なFTA(自由貿易協定)となる』と表明可能」になり、大統領の成果になると分析した。
文書は慎重派との「落としどころ」にも言及。実際の交渉参加は最短で12年3月以降と見込み「3月までにしっかり議論し『参加すべきでない』との結論に至れば、参加を取り消せばよい」と指摘。取り消す場合は「党側が提言し、政府は『重く受け止める』とすべきだ」と提案した。
選挙への影響を懸念する党内意見については、衆院解散がなければ13年夏まで国政選挙がないことに触れ「交渉に参加しても劇的な影響は発生しない」とした。
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◇政府のTPPに関する内部文書(要旨)
▽11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で交渉参加表明すべき理由
・米国がAPECで政権浮揚につながる大きな成果を表明するのは難しい。
日本が参加表明できれば、米国が最も評価するタイミング。
これを逃すと米国が歓迎するタイミングがなくなる
・交渉参加時期を延ばせば、日本は原加盟国になれず、ルールづくりに参加できない。
出来上がった協定に参加すると、原加盟国から徹底的な市場開放を要求される
・11月までに交渉参加を表明できなければ、交渉参加に関心なしとみなされ、重要情報の入手が困難になる
・韓国が近々TPP交渉に参加する可能性。
先に交渉メンバーとなった韓国は日本の参加を認めない可能性すらある
▽11月に交渉参加を決断できない場合
・マスメディア、経済界はTPP交渉参加を提案。実現できなければ新聞の見出しは「新政権、やはり何も決断できず」という言葉が躍る可能性が極めて大きい。経済界の政権への失望感が高くなる
・政府の「食と農林漁業の再生実現会議」は事実上、TPP交渉参加を前提としている。見送れば外務、経済産業両省は農業再生に非協力になる
・EU(欧州連合)から足元を見られ、注文ばかり付けられる。中国にも高いレベルの自由化を要求できず、中韓FTA(自由貿易協定)だけ進む可能性もある
▽選挙との関係
・衆院解散がなければ13年夏まで国政選挙はない。大きな選挙がないタイミングで参加を表明できれば、交渉に参加しても劇的な影響は発生しない。交渉参加を延期すればするほど選挙が近づき、決断は下しにくくなる
▽落としどころ
・実際の交渉参加は12年3月以降。「交渉参加すべきでない」との結論に至れば、参加を取り消せば良い。(取り消しは民主)党が提言し、政府は「重く受け止める」とすべきだ
・参加表明の際には「TPP交渉の最大の受益者は農業」としっかり言うべきだ。交渉参加は農業強化策に政府が明確にコミットすることの表明。予算も付けていくことになる。
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出典はこちら
毎日新聞http://mainichi.jp/select/biz/news/20111028k0000m020158000c.html
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