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週間文春 2月20日号より抜粋しています。
「歯をガリガリ削る」治療は時代遅れ

『歯 良い治療悪い治療の見分け方』(農文協)などの著書がある歯科医 丸橋賢氏のクリニック(群馬県高崎市「丸橋歯科クリニッック」)には 歯科医で治療を受けて逆に歯のトラブルを抱えてしまった患者が助けを求めて全国から駆け込んでくるという。「歯列を矯正したのにそれから体のハランスか崩れ歩けなくなってしまった人や、インプラントを入れてから 流動食しか食べられなくなってしまったという人など深刻な症状を訴える人もいます。また、根管治療をしたにもかかわらず 歯か穿孔し歯根の間の骨は真っ黒に溶けて化膿していたり、被せてある歯のすべての根管治療かデタラメで化膿していたりする患者は珍しくありません。とにかく粗悪治療の多さに驚いています。1千人の初診を見て、これはまあ丁寧な治療をしてあるなどと思う例は、ほんの数人。本当に良質な治療を施されいる例はめったにないですね」適合不良の充填と冠にも失敗例がよくある。「虫歯は歯と充填物の問に50ミクロン以上の隙間があると、簡単に再発してしまうのにまったく適合してなく、大きな隙間があり 再発してしまったという患者も多いですね。咬合の具合もひどい。高価な金属焼付けポーセレン冠を使った治療でも顎偏位症になる一歩手前のような悲惨な状態で来院する患者がいます」(丸橋稀氏)

さらに許せないのが、子供たちの虫歯治療だ。虫歯でもない子供の歯を「予防治療」という名目で、奥歯に片っ端から詰め物をしている歯医者も実に多いのだ。その詰め物とは、シーラント(虫歯予防充填剤)やCR(コンンポジットレジン)と呼ばれるものだ。あなたの子供の歯を見てほしい。奥歯のデコボコした谷間を埋めるように細く流して滑らかにしている白い詰め物かあれば、それは間違いなくシーラントやCRだ。
 「歯か少し黒くなっていたり、少しだけへこみがあるような場合は、虫歯になる可能性があるので、予防治療として多くの歯科医は、黒い部分をほんの少しだけ削って、シーラントを入れるのです。でも、多くの場合はエナメル質が着色している程度のもので、正しいブラッシングと、食生活を改善すれば再石灰化して治ってしまいますし、それでも虫歯の疑いがあれば、ハードレーザー(レーザーを使って感染した歯質を蒸散させる)で処理すればよい」(前出・丸橋氏)
 現在の日本では、子供の虫歯は減る傾向にある。厚生労働省では、6年ごとに「う蝕有病者数」を調査しているが、平成11年の歯科疾患実態調査によると 乳歯では1〜15歳未満でう蝕有病者数は45.2パーセント。平成5年時調査の56.87パーセントより約12パーセントも減っている。また乳歯+永久歯も平成11年は78.34パーセントで、前回の90.41パーセントより、約12パーセント低い。しかし、前述の丸橋氏がある小学校で6六年生を調査したところによると、85パーセントの生徒に、シーラントあるいはCRが詰められていたという。また別の小学校でも同じような調査をすると75パーセントも詰められていた。
 東京都中野区で「林歯科」を開業する歯科医、林晋哉氏と歯科技工士の林裕之氏も子供の予防治療の現状に警鐘を鳴らす必要があるという。「虫歯の早期発見は大切ですが、少し歯がへこんでいるからと言って、そこにシーラントを詰めると、噛み食わせが変わってきてかえって歯が悪くなってしまうこともあります。奥歯のへこんだところなど、痛みを訴えていないばあいはサホライド(フッ化ジアミン銀)という進行止めを塗っておくだけの方がいい場合もある。

「詳しく言うと、シーラントやCRのレジンの成分の中にGMAという多機能モノマーが使用されており、ビスGMAの成分として、ビスフェノールAが含まれているのです。日本でも、千葉県薬剤師会検査センターの分析で、シーラントやCRの成分は水には溶出しないが、唾液中には溶出することが確認されています。これらの詰め物が咬耗して食事のたびに胃に入ることも考えられるのです。安全性が確認されない材料は用いないというのが医学の常道。しかし、わたしが『危険性が指摘されているものを材料に使うべきでほない』とテレビのインタビューで発言したところ、歯科医師団体や歯科医師から、多くの抗議や嫌がらせの文書が送りつけられてきました」(同前)
 実は、このシーラント、歯科医の技術がいい加減だと、高確率で取れてしまう。神山紀久男東北大名誉教授(小児歯科)が集めたデータでは92二パーセントが外れてしまったという報告もあるほどだ。日本の歯科医療状況は先進諸国に比べてかなり遅れている。前出の中山歯科医も、日本の予防歯科医療の遅れを指摘する。「虫歯や歯周病は、プラークコントロール(ナイロン製の細い糸や歯間ブラシ、歯ブラシなどできちっと歯をケアすること)を丹念に行ない、フッ素やキシリトールで歯を守り定期検診などをきちっと受けていれば、かなりの確立で防げるものです。しかし、日本は予防医療には保険の点数も低く、お金にならないとして力を入れていない歯科医が多すぎます。EU諸国では国をあげて予防医療に取り組んでいる。その結果、どんどん患者の数が減ってきて、歯科医院の経営が存続できない状態にまでなっているのです。オランダではかつて5校あっだ歯科大学が、患者の激減により2校に統合されてしまいました。日本の国民医療費の負担が社会問題になっていますが、諸外国の例からも、こうした予防治寮をしっかりすることで、将来の医療費の減少も見込めるのです」(前出・中山氏)
 さらに、日本にはもう1つ遅れている治療がある。それは歯科治療の基本である虫歯治療だ。虫歯になると、歯の黒く変色した部分をガリガリと削り金属を詰め、再発するとより大きく削り詰め物を入れる、削ると痛いときは麻酔を打つ。この治療法は発案者の名をとって「ブラックの法則」と呼ばれており、日本では多くの歯科医がこの治療法を用いている。しかし、この法則で治療を続けているのは、先進諸国では日本くらいだというから驚きだ。前出の林歯科医は言う。「1990年にWHO(世界保健機関)の傘下にあるFDI(国際歯科連盟)は『ブラックの法則の完全撤回』という通達を出しました。通達の内容を簡単に言えば、歯を必要以上に削ってはならないということです。イギリスの保健省の.過剰診療調査委員会では、ブラックの法用の完全撤回を受けて、『この改革についてこられない歯科医は無能である』との報告書を出したくらい諸外国の歯科治療の流れは変化しているのです。しかし、日本ではこうした情報も歯科医に届かず、また、自分で勉強しようともしない歯医者ばかりなので、相変わらず安易にガリガリ削る」

保険の点数は歯の一部を削って、詰め物をすると、120点。抜歯は前歯が150点、臼歯が260点、、難抜歯が460点、骨に埋まった親知らずが1000点。こうした点数をかせぐほど、歯医者は儲かるということになる。
 東京のある法人歯科医院に勤めている歯科衛生士A氏は、自分の勤めているクリニックの現状を見て、こう指摘する。「法人で、チェーン展開している歯科医院の場合、分院の雇われ院長の給料は、歩合制で支払われます。だいたい1ヶ月の儲けの20〜25パーセントくらいが給料になりますが、保険の点数を稼がなくては自分の給料が減ってしまうので、なんとか点数を稼ごうとして、削らなくてもよい歯を削ったり、抜かなくてもよい歯を抜いたりするのです。うちでは、オーナーの大先生自らも、抜かなくていい歯まで抜くので、良心的な雇われ歯科医が、それを躊躇していると、金のためだ、経営のためにヤレと無理強いしています。腕がよくて志がある先生は、すぐに辞めてしまいます」
 また、都内で開業している歯科医氏は、今年の4月から保険制度が変わると、ますますこうした歯医者が増えるのではないかと心配している。現在の健康保険では、国民健康保険の本人負担額は3割、社会保険の本人負担は2割と、負担額が違っている。つまり、会社員など社会保険を利用している患者たちは、個人事業主やフリーランスの患者より、安い金額で治療を受けられたわけだ。しかし、今年4月からは、社会保険の利用者も、同率の3割負担となる。
 では、大学病院なら、理想的な治療が受けられるのだろうか。これも、いちがいに「イエス」とは言いがたい。「大学病院は、設備がないと治療できないような重症の患者と、新しい医療を求める患者、そしてコネのある患者が行くところです。大学病院で治療する場合ほ、こうした点を医師に確認して、納得がいってから治療をした方がよいでしょう。また紹介状をもらって行っても、途中から若い医師に交代してしまい、『若い医師に、なにをされているのかわからない』という苦情を訴える患者もいます(前出・B氏)
 では良い治療を受けるために、患者側ほどのような努力をするべきか。多くの医事が勧めるのが「セカンド・オピニオンだ。ひとつの症例に関しても、それぞれの医師で見解の相違がある。はじめに診察に行った医師の見解が、本当に正しく、自分に合った治療なのかどうかを患者が判断するためには、他の歯科医を何軒かたずねて、再度診察してもらい、その医師の見解を聞く。これがセカンド・オピニオンである。現在治療中の歯でも、その治療が本当によいのかどうかを、他の医師に聞くことも可能だ。初診料を無駄にしても6軒ぐらい回る努力をしよう。
 丸橋氏は、口コミや本やテレビなどで「この歯科医師なら信用できそうだ」という人が見つかったら、その医師に聞いてみる、のも一案だという。「技術レベルの高い医師同士で、横のつながりを持っている場合がよくあるので、自分が信用できそうだと思う医師に、自分の住所と症状を手紙に書いて『通えそうなところで、よい医師を紹介してほしい』とたのむのです。この方法は、間違いないと思います。現代は、ひとりの医師がすべての治療をする時代ではなく、ひとりの患者でも、それぞれの専門医が専門分野の治療を行なう時代だと思います」また、大学病院には町医者にはない設備が揃っているため、自分の歯の状態を正しく知るために「診察」だけを大学病院で行なってもらうのもよい方法だろう。
 そして、忘れてはならないのは「良心的な歯科医院では、患者に対して治療の説明がきちんとなされでいる」ということである。

http://www.hahoo.jp/~gikomushi/gikousikai/2003/0215d.htm より

「危ないインプラント」の見分け方
「当時のインプラントの多くが、臨床データも少なく体の組織との関係などの研究もなされていませんでした。また、施術後5〜10年たったらどうなるのかという予知もできませんでした、そのため歯科大では、なかなかインプラントを受け入れなかったのです」と語るのは、世界で一番、臨床データが蓄積されているインプラントである「ブローネマルク」システムを日本人で一番最初に学んだ小宮山彌太郎氏(東京歯科大学客員教授/ブローネマルクオッセオインテグレーションセンター所長)だ。
ただ、地方の歯科医院ではすいまだにブレード方式を使用しているところもあるので注意が必要だ。小宮山氏が危倶するのは、チタン製のオッセオインテグレーションのシステムは普及してきたものの、いろいろな業者が似たようなシステムをつくり、しっかりした臨床データも科学的理論もないインプラントが氾濫していることだ。インプラントの種類は現在世界で200種類以上、日本の厚労省の認可をとったものが30種類以上にものぼっている。
 小宮山氏は、こうした臨床データのないインプラントの被害者が、今後続出するのではないかと予測する。「日本の歯科医たちに、インプラントのシステムを選ぶ基準を聞くと、驚くことに、『安い』『施術が簡単』という2点を最大のポイントとしてあげる人が多いのです。これは世界でも珍しいことで、他の国では、安全性を考え臨床データを重視してシステムを選んでいます。ブローネマルクは、臨床データが最も多く、いま世界で普及しているオッセオインテグレーションシステムは、すべてブローネマルク方式を規範としています。そのため厚労省はブローネマルクと形が似通っていて、材質が同じインプラントだと、比較的容易に認可するようです。しかし、いくら型が似ていても違うものなのです。現在、自分が使っても安心できるシステムは3〜4種類しかありません」今、世界で4大インプラントと呼ばれているのが、ブローネマルク、アストラ、スイスプラス、ITIだ。

http://www.hahoo.jp/~gikomushi/gikousikai/2003/0321.htmより

注) ビスフェノールAに限りませんが、環境ホルモンの特徴は、ppbレベルで人体に作用することです。ppbとは1リットル中に1グラムの1,00万分の一含まれている濃度です。