■オイルの構造
オイルは基本的なベースオイルと性能追加のための添加剤との混合物になっています。
その比率は
オイル=ベースオイル+添加剤=90%+10%ぐらい。
なので添加剤よりベースオイルの性能が重要です。
■オイルの一生
段階1. 新品状態
段階2. 添加剤が低分子化する。
添加剤部分のポリマーが物理的な衝撃を受けて、高分子から低分子に分解していきます。
その結果、粘度が低下する。エステル系以外のオイルでは、この時点で交換することが望ましい。
ベースオイルの部分はほとんど低分子化しないらしい。
段階3. 低分子から重合へ
酸化防止の添加剤の効果が薄れてきて、分解した分子が水と反応して大きな分子となります。これを重合化といいます。
これにより、部分的に固まり(スラッジ)ができ、静止時には沈殿するようになります。
この不純物が燃焼室に入って吸気バルブや燃焼室内部に付着して固化するとカーボンとかデポジットとかいわれるものになります。要するに真っ黒なススみたいなものです。
カーボンはいろんな悪さをします。燃費悪化、レスポンスの悪化の原因になります。
カーボンが燃料噴射口に付着したり、タービンに付着するととんでもないトラブルになったりしますので要注意です。
ベースオイルの種類 |
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鉱物オイル |
油田から掘り出して精製したものです。酸化しやすいのが難点です。
アメリカのテキサスのものがよいと言われていますが、ほんとかどうかよく知りません。
鉱物オイルは、粘度を高くして皮膜を保持する方向になります。
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HCS |
鉱物油の純度を上げたものです。粘度を高くして皮膜を保持する傾向です。 |
半化学合成 |
自動種メーカーの純正オイルに多いですね。
半分合成したものです。粘度を高くして皮膜を保持する傾向です。
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化学合成
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100%人工的に合成したものです。
PAO系
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Mobil社が開発。各メーカーへOEM供給している。
比較的低価格なので各社がさまざまにブレンドして使用している。
粘度が変化しにくいオイル。
粘度を高くして皮膜を保持する傾向です。
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エステル系 |
MOTUL社が開発。エステル分子の電気的な結合力で金属表面に皮膜をつくることでエンジンを保護します。
粘度と皮膜の保持はあまり関係ないオイルです。これまでのオイルとまったく異なる発想のオイルといわれている理由がこれです。
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添加剤の種類 |
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摩耗防止 |
エンジン内部の金属の接触による摩耗の防止 |
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酸化防止 |
オイルが酸化して重合することを防止。 |
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物理的分子破壊防止 |
分子レベルでの形状(ポリマー)の破壊防止。 |
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熱変化防止 |
熱によるスラッジ(へどろ状態)の発生の防止。
これが進むと固まりになり、もっと進むとカーボンになる。これらがタービンや、種々なパーツの焼き付きの原因になります。 |
・F1で使用されているオイルは性能の変化の影響をできるだけ抑えるために添加剤は使用していないらしい。
つまりベースオイルのみ。ただしすぐに交換するので寿命は短い。パフォーマンス重視なのでエンジンの耐久性に重点をおいているとは思えないのですがどうでしょうか。
■油温と粘度について
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