
ヨウ素-131
半減期 8.04日
崩壊方式
ベータ線を放出して、キセノン-131(131Xe)となる。ガンマ線が放出される。
生成と存在
ヨウ素のもっともよく知られている放射性同位体。天然では、大気中で宇宙線とキセノンの反応によって生成し、地上でウラン‐238(238U)の自発核分裂によって生じる。いずれにしてもその量は小さい。
人工的には、核分裂で大量に生成する。1メガトン(TNT換算)の核兵器が爆発すると、460京ベクレル(4.6×1018Bq)が生じる。電気出力100万kWの軽水炉を1ヶ月以上運転すると、310京ベクレル(3.1×1018Bq)が蓄積して、その後は同じ量が存在し続ける。
ベータ線による甲状腺被曝が大きな問題となる。10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.22ミリシーベルト

セシウム-137(137Cs)
半減期 30.1年
崩壊方式
ベータ線を放出してバリウム-137(137Ba)となるが、94.4%はバリウム-137m(137mBa、2.6分)を経由する。バリウム-137mからガンマ線が放出される。
生成と存在
セシウムの代表的な放射性同位体。天然では、ウラン鉱などの中のウラン238(238U)の自発核分裂によって生じるが、生成量は少ない。
人工的には、核分裂による生成が重要である。1メガトン(TNT換算)の核兵器の爆発で6,300兆ベクレル(6.3×1015Bq)が生じる。
電気出力100万kWの軽水炉を1年間運転すると、14京ベクレル(1.4×1017Bq)が生じる。
図2に、スウェーデンのストックホルムにおける大気中濃度の時間変化を示す。
1970年まではアメリカと旧ソ連、それ以後は中国による大気圏内核実験の影響である。頻繁に核兵器実験が実施された1960年代前半に日本人は1日に1ベクレル以上を摂取していたと推定されている。
1986年4月26日に起こった旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、8京ベクレル(8.0×1016Bq)が放出された。1986年の急激な濃度の増加は、その影響である。期間が短いとはいえチェルノブイリ原発事故による濃度の増加は大きかった。
生体に対する影響
10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.13ミリシーベルトになる。また、1mの距離に100万ベクレルの小線源があると、ガンマ線によって1日に0.0019ミリシ-ベルトの外部被曝を受ける。
旧ソ連原発事故では、広い地域が1m2あたり50万ベクレル(5.0×105Bq)以上のセシウム-137で汚染された。そのような場所では、セシウム-137のみから1年間に1ミリシーベルト以上の外部被曝を受ける。事故直後は、短寿命放射能の存在と内部被曝の寄与で年間10ミリシーベルトをはるかに超える被曝を受けていた。ふつうの人は、そこに住むことはできない。(「ストロンチウム‐90」も参照)
http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/13.html

ストロンチウム-90(90Sr)
半減期 29. 1年
崩壊方式
ベータ線を放出してイットリウム-90(90Y、2.67日)となり、イットリウム-90もベータ崩壊してジルコニウム-90(90Zr)となる。イットリウム-90は、核分裂直後はほとんど存在しないが、時間の経過とともに量が増す。1ヶ月後には放射平衡が成立して、ストロンチウム-90とイットリウム-90の放射能強度は等しくなる。
生成と存在
よく知られた人工放射能。ウラン鉱の中で、ウラン238(238U)の自発核分裂などによって生じるが、生成量は少ない。
人工的には、核分裂による生成が重要である。1メガトン(TNT換算)の核兵器の爆発で4,000兆ベクレル(4.0×1015Bq)が生成し、ストロンチウム-89(89Sr、50.5日)も80京ベクレル(8.0×1017Bq)が生じる。ストロンチウム-89/ストロンチウム-90放射能強度比は200である。
電気出力100万kWの軽水炉を1年間運転すると、10京ベクレル(1.0×1017Bq)のストロンチウム-90と260京ベクレル(2.6×1018Bq)のストロンチウム-89が蓄積する。上で述べた放射能強度比は26である。
化学的、生物学的性質
ストロンチウムはカルシウムと似た性質をもつ。化合物は水に溶けやすいものが多い。
体内摂取されると、一部はすみやかに排泄されるが、かなりの部分は骨の無機質部分に取り込まれ、長く残留する。
成人の体内にあるストロンチウムの量は320mg
炉心が破壊されれば、その中にある大量の放射能が外に放出される。
1986年4月26日に起こった旧ソ連(現、ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故では、大量の放射能が放出された。ストロンチウム-90の放出量は、炉内の存在量がほぼ等しいセシウム-137(30.1年)に比べて小さかった。名古屋で採取した大気試料の分析によると、ストロンチウム-90/セシウム-137放射能強度比は0.002~0.02の範囲に分布していた。一方で、発電所周辺または近隣諸国に降下した放射能に含まれるものの放射能強度比は、上の値より高く0.1に達すると報告されている。このようなことは高温の核燃料の中からセシウム-137よりストロンチウム-90が放出されにくいことと放出された放射能の組成が不均一であることを示している。
放出量が少ないとはいえ現在でもその存在は認められ、事故地点の近くでは河川水などのストロンチウム-90による汚染が知られている。
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