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出典

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20070110_1g.pdf

 

米国の「朝鮮ニンジン」、需要の高まりで値上がり―窃盗も急増

米国アパラチア地方や中西部で丘の日陰に生える朝鮮ニンジンに似た「アメリカニンジン」に対する中国からの旺盛な需要を背景に、その値段が跳ね上がり、一方では法律に違反してこれを掘り出して売る人たちが急増している。

 専門家によると、森林に育つアメリカニンジンの値段はポンド(450グラム)当たり1000ドル(10万9000円)と、5年前に比べて数百ドル高くなっている。その背景には中国の中間層の需要増大と、米国の収穫規制の強化や供給がもともと少ないといった幾つかの要因による輸出減少がある。

 覆いをかぶせて育てられたアメリカニンジンの価格は野生物の何分の1かだ。これは野生物の方が中国特産のニンジンに非常によく似ているためだ。

 州の当局者によると、値段の急騰を受けて、多くの人がスクリュードライバーや自家製の道具を使って採取のために森林に分け入っている。アパラチア地方のコミュニティーにおけるドラッグ汚染と、まだ種が熟していないニンジン窃盗を結び付ける声もある。一部の窃盗犯はニンジンをドラッグや、違法な薬物を買うための現金と交換しているという。

左図:アメリカニンジンの収穫が認められている州、右図:アメリカニンジンの輸出量

 ウエストバージニア州天然資源局は17日、今月1日に始まった収穫期に先立つ数週間に、190ポンド、市場価格で18万ドルの違法ニンジンを押収したという。これは例年の30ポンドを大きく上回る水準だ。当局は11人を逮捕し、盗難拳銃2丁と現金、鎮痛剤を押収した。同局の法執行官ラリー・ケース氏は「これまでで最大だ」と話した。同氏はウェストバージニア州南部の8郡を担当するチームのトップ。

 他の州でもニンジン窃盗事件が増加している。インディアナ州南部の当局者は9月初め、法律で認められた収穫期以前に所持、あるいは私有地から盗んだ容疑で、合計25人を逮捕するか出頭を命じたと語った。同州全体では既に昨年1年間のニンジン関連の逮捕件数に迫ろうとしている。

 8月には、ノースカロライナ州で常習的な窃盗犯に5カ月半の禁錮刑が言い渡された。この1年間にウィスコンシン州の当局はニンジン窃盗取り締まりの「プロジェクト・レッド・ベリー」を打ち出した。出頭命令は175件と、例年の30件を大きく上回った。窃盗犯の中には、発見されないように車をカムフラージュしていたケースもあったという。

 ニンジンの窃盗と不法侵入は通常、軽罪で、犯人は数百ドルの罰金を支払い、違法に入手したニンジンを返さなければならない。これとは対照的に、ディーラーは、違法に入手したニンジンを州を越えて移動させた場合、連邦重罪に問われることがある。法執行当局者は、今の罰金は窃盗を防止する上で十分ではないことを認めている。また、数百万エーカーにも上る土地で十分な取り締まりをするのは不可能だと述べる。

 アメリカニンジンが北米で発見されたのは1715年で、長い間中国に輸出されている。同国では強壮剤や男性の性機能不全の治療薬として使われている。

押収されたアメリカニンジン。違法ドラッグ、武器なども押収された(ウエストバージニア州) ENLARGE
押収されたアメリカニンジン。違法ドラッグ、武器なども押収された(ウエストバージニア州) Larry Case

 一部の専門家は、ジョージ・ワシントンは毛皮やニンジンの取引をしていた初期の猟師たちから借金をしていたため、米独立戦争の資金の一部はニンジン取引によって賄われた証拠がある、という。米国の百万長者ジョン・ジェイコブ・アスターは数千ポンドのニンジンを毛皮とともに中国に売っていたと話す研究者もいる。

 モルモン教の創始者の父であるジョゼフ・スミス・シニアは1804年、ポンド当たり4ドル強の価格でニンジンを売った。1956年にはその卸価格は約20ドルに上昇した。

 現在のアメリカニンジン輸出量は、米国と180カ国が絶滅危惧種の取引を規制するために結んでいる条約が扱うどの種よりも多い。米内務省魚類野生生物局(FWS)によると、米国産ニンジンの年間卸取引額は2690万ドル。米国産野生ニンジンの約90%はまず香港に輸出され、その後アジア各地に運ばれる。

 12年の米国の野生物輸出は4万5000ポンド(約20トン)、栽培物は34万2000ポンド(約155トン)だった。野生物の供給は世界的に減少傾向にある。これはその生育に必要な森林の破壊などが原因だ。米国の規制当局はここ数年、連邦所有地や州所有林でのニンジン採取を禁止ないし制限している。

 一部の州の当局者やニンジン取扱業者は、窃盗の増加でニンジン供給が危機的になる恐れがあるとしている。ニンジン採取を認めている19の州は規則を厳しくし、成熟したものだけを取り、種を同じ場所にまくことを義務付けている。

 著名なニンジン専門家であるロバート・ベイファス氏は、毎年相当量のニンジンが記録されることなく採取・販売されているとし、「違法なニンジン販売は簡単にできる」と話す。同氏は、規制は窃盗者には効果がなく野生ニンジンの保護には役立たないとの専門家の考えに同感だと語った。

http://jp.wsj.com/articles/SB12785023003277603623104580160904062112326

 

 

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